ついこの間超ぼやきのほうでブラックレインのことを取り上げて、日本側のキャストがたくさん亡くなっていることに触れたのですが、今月、その出演者の一人であった内田裕也さんが死去されたそうです。この人はそもそもロックンローラーらしいのですが、私自身にはそういうイメージはなくて、映画俳優のイメージのほうが鮮烈に印象に残っていたりします。
昔、テレビの深夜映画で「十階のモスキート」を見たり、「戦場のメリークリスマス」にも出演されていたと思うが、一番脳裏に焼きついているのは「コミック雑誌なんかいらない」。内田裕也がリポーターになって様々な事件現場に突入していくシニカルな社会風刺の作品でした。当時実際に起きた事件を再現したシーンもありましたが、とくに覚えているのは、たくさんのマスコミ陣が押しかけている最中に起きた豊田商事会長の殺人事件のシーン。
二人組の男が窓を割って会長のいるマンションの部屋に侵入し、銃剣で会長を刺した後、マスコミに囲まれる中、「警察呼べ、俺が犯人や」と言っていた犯人役をビートたけしが演じていたのも強烈でした。どんな怖そうな相手にも怯まずにマイクを向ける内田裕也のクールな表情と、野球場のピッチャーマウンドに立ち、スポットライトを浴びながら勇ましくボールを投げている姿がとても印象的でしたね。
ブラックレインでは、刑事になりすまして松田優作演じるヤクザの佐藤を奪還する佐藤の子分を演じていましたが、少ない出番にも関わらず抜群の存在感を見せていたのが印象に残っています。津川雅彦&朝丘雪路夫婦と同じく、樹木希林さんの後を追うように旅立たれた。もっと面白い映画を作ってもらいたかったですね。内田裕也さんのご冥福をお祈りいたします。